新規創傷治療材料「シルクエラスチン(R)創傷用シート」の独占的販売権の契約締結について

2024/10/07  三洋化成工業 株式会社 

2024 年10月7日
三洋化成工業株式会社

新規創傷治療材料「シルクエラスチン(R)創傷用シート」の 独占的販売権の契約締結について

三洋化成工業株式会社(本社:京都市東山区、代表取締役社長:樋口章憲)および科研製薬株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:堀内 裕之、以下「科研製薬」)は、新規の創傷治療材料「シルクエラスチン(R)創傷用シート」(以下、「本製品」)について、日本国内における独占的販売権に関するライセンス契約を締結しましたのでお知らせいたします。

本ライセンス契約締結により、当社は科研製薬より契約一時金の他、売り上げに対する一定のロイヤルティを受け取ります。

当社は科研製薬と連携して本製品の早期の市場浸透に取り組み、皮膚損傷の新たな治療法を提供して患者様やそのご家族のQOL向上に努めます。

また、引き続きシルクエラスチン(R)のさまざまな可能性を追求するとともに、適宜アライアンスを通じてシルクエラスチン(R)の価値最大化を図ってまいります。

【概要】

やけどやケガ、皮膚がんの切除などで皮膚が欠損した場合、通常の治療では治りにくい「慢性創傷」(難治性皮膚潰瘍)と呼ばれる傷が発生することがあります。慢性創傷は、糖尿病、静脈還流障害、床ずれ、膠原病などさまざまな原因で引き起こされます。創傷の治療には、創面を湿潤に保ちながら、細菌感染を防ぐことが重要です。しかし、慢性創傷は治癒に時間がかかるため細菌感染のリスクが高くなり、感染すると治癒がさらに遅れるという悪循環に陥りがちです。

本製品は、このような治りにくい慢性創傷の治療を目的に、当社が京都大学病院とともに開発を進めてきた新しい治療材料です。これまでの臨床試験のデータから従来の治療で効果が得られにくいような慢性創傷でも、細菌感染を助長させることなく安全性と有効性の両面で良好な結果が得られており、日本初の遺伝子組み換え技術を用いた医療機器として、2024年4月に製造販売承認申請を行いました。

シルクエラスチン(R)創傷用シート

シルクエラスチン(R)創傷用シートの適用

【科研製薬株式会社について】

科研製薬は、「一人でも多くの方に笑顔を取りもどしていただくために、優れた医薬品の提供を通じて患者さんのクオリティ・オブ・ライフ(QOL)の向上につとめる」を企業理念とし、1948 年の設立以来、医療現場のニーズに即した医療用医薬品の研究開発を行っています。皮膚科、整形外科におけるプレゼンスを高めており、「長期経営計画 2031」に沿って、新規モダリティにもチャレンジしています。

詳細は、https://www.kaken.co.jp/をご覧ください。

【補足説明】

<慢性創傷治療材料としてのシルクエラスチン(R)創傷用シートについて>

シルクエラスチン(R)は、シルクフィブロイン(1)の部分配列とエラスチン(2)の部分配列とを組み合わせ、遺伝子組み換え技術によって作製された人工タンパク質です(図 1)。シルクエラスチン水溶液は加温するとタンパク質の構造が変化し、水分を含んだ状態で固まる(ゲル化する)という特徴があり、複雑な創傷面に密着して細胞増殖の環境を作り出します。

(1) シルクフィブロイン:カイコが産生する繊維状のタンパク質であり、シルクの原料になる。

(2) エラスチン:弾性線維を構成する主要なタンパク質。皮膚や肺、動脈が伸縮するのは弾性線維の働きによる。

図1.シルクエラスチン(R)の構造

GVGVPはアミノ酸配列
G:グリシン
V:バリン
P:プロリン

<臨床試験について>

京都大学病院で2018年2月から12月まで、下腿難治性皮膚潰瘍を対象として、シルクエラスチン(R)創傷用シートを用いた医師主導治験を行い、本材料の安全性を確認しました。また、2021年7月より実施していた企業治験において、安全性と有効性の両面で良好な結果が得られました。

いずれの治験も国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED) 医工連携イノベーション推進事業の支援を受けて実施いたしました。

以上

<本件に関するお問い合わせ先>
三洋化成工業株式会社
経営企画本部 コーポレート・ガバナンス部
電話 075-541-4312
https://www.sanyo-chemical.co.jp/

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