2024 年11月20日
ミノムシ繊維の製品化を世界で初めて達成
新ブランド「MINOLON」を立ち上げ
興和株式会社(以下、「興和」)は、前回のプレスリリース※1以降、ミノムシ繊維の産業化に向けた技術開発を進め、世界で初めてミノムシ繊維の製品化を達成しました。また、ミノムシの研究開発から得られる、多種多様な新素材の総称として、「MINOLON」(ミノロン)ブランドを立ち上げました。
ミノムシが吐く糸(ミノムシ繊維)は、クモ糸を凌駕するほど硬くて粘り強く、構造材料として理想的な外力への応答性を示します(前回のプレスリリースにて発表)。 ミノムシ繊維の産業利用に向けた生産体制の構築を進める過程で、シート状のミノムシ繊維(MINOLON シート)の製造方法を見出しました。
MINOLONシートは、CFRP(炭素繊維強化プラスチック:Carbon Fiber Reinforced Plastics)と複合することにより、CFRP 本来の性能を損なうことなく、「高速での衝撃を吸収しつつ壊れにくい」という特性を、CFRPに付与することが明らかになりました。
興和はこの特性を持つMINOLONシートを製品化し、スポーツメーカーと共同でMINOLONシートをCFRP に複合化した製品の開発を進めています。間もなくその製品が発売される予定です。
一方、研究段階になりますが、ミノムシ繊維を短繊維化し 「ミノムシ繊維 FRP(繊維強化プラスチック:Fiber Reinforced Plastics)」にすると、破断伸度※2を維持しながら破断強度※3を上昇させるという、従来の短繊維複合FRPでは実現できない特性を、付与できることがわかってきました。従来のタフネス※4不足で利用できなかったFRP製品への展開が期待されます。
ミノムシ素材は、高強度かつ環境にやさしいという点で、既存の繊維に取って代わる、世の中を変えていく新たな素材となる可能性を秘めています。 興和は、このミノムシ素材の生産力強化と、新たな製品開発に繋がる取り組みを、今後も進めていく予定です。
以 上
※1: 2018年12月5日 「興和と農研機構は、クモ糸を凌駕するミノムシの糸の有用性を見出し、その産業化を可能にする技術開発に成功」 興和株式会社と農研機構(国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構)との共同プレスリリース
※2: 破断伸度:物質が破断した時の伸び(%)。数値が大きい程、伸びる。引張試験における切断した際のX軸の値。
※3: 破断強度:物質が破断した時の力の大きさ。数値が大きい程、強い。引張試験における切断した際のY軸の値。
※4: タフネス:物質の壊れにくさ。数値が大きい程、粘り強い。引張試験における全積分面積。破壊に必要なエネルギー
■お問い合わせ先
興和株式会社 MINOLONホームページ: https://minolon.com/
MINOLONホームページ: minolon.com お問い合わせフォーム