東急グループ代表 野本弘文・東急(株)取締役社長 堀江正博 年頭あいさつ【要旨】

2025/01/06  東急 株式会社 

ニュースリリース

2025年1月06日

東急グループ代表 野本弘文・東急(株)取締役社長 堀江正博
年頭あいさつ【要旨】

東急グループ

1.東急グループ代表 野本弘文 年頭あいさつ (東急グループ各社トップに対する年頭あいさつ)

(1)日 時 2025年1月6日(月) 8時45分
(2)要 旨
グループ各社におかれましては、年末年始に大きな事故もなく、無事に新年を迎えたことを皆さまとともに喜びたいと思います。この場を借りて各社の皆さま、特に現場の皆さまの努力に感謝いたします。

さて、昨年は能登半島地震、羽田空港での航空機衝突事故から始まる、波乱の一年でありました。年が明けた今も、政治面、経済面から、前にも増して先を見通しにくい情勢であることは周知のとおりです。各社の業績については、昨年までは不動産市場が堅調なことに加え、人流の回復やインバウンド需要の増加により、多くの会社で好調に推移しています。その一方で、「2024年問題」にも拘わる人手不足や人件費の増加、そして材料費や工事費の高騰、また金利の上昇など外部環境の変化にはしっかりと感度よく取り組んでほしいと思います。世の中が変化(change)するとき、必ずチャンス(chance)が生まれます。ただ、挑戦(challenge)しなければチャンスを活かすことはできません。この3つの「Cha」を常に意識していただきたいと思います。こうした激変の時にこそ、我々は今何をなすべきか、しっかり考え行動しなければならないという言葉を肝に銘じ、勇気を持って行動していただきたいです。

昨年、とある大学の「外部環境の変化と企業動態」の授業の講師を頼まれ、200名の学生を前に講義を行いました。それにあたり、今の若者の夢や置かれている環境についてあらためて調べてみました。現在の日本経済は失われた30年ともいわれ、「一人当たり名目GDP世界ランキング」は2001年に5位でしたが、2024年ではOECD最下位の34位。「企業時価総額ランキング」も、1989年に上位10位のうち7社が日本企業という時代がありましたが、2024年では日本企業最高位が43位で100位以内に他の企業は入っていません。このような背景もあり、若者が明るい未来を描きにくくなっています。18歳の若者の「将来の夢」に関する調査によると、【自分の人生には、目標や方向性がある】【将来の夢を持っている】と回答した日本の若者は約6割弱しかおらず、アメリカ、イギリス、中国、韓国、インドなどから20ポイント以上も低いものとなっています。また、別の調査では、【熱意のある社員の割合】を調べたところ、アメリカ33%、世界平均が23%のところ、日本は6%と123ヵ国中最下位に近い結果に愕然としました。日本の若者は夢を持てず、仕事にも熱意を持てていない、という状況にあり、これではますます日本がダメになってしまうと大変な危機感を感じています。
そのような背景があるなか、大学の講義では、「下足番を命じられたら、日本一の下足番になってみろ。そうしたら、誰も君を下足番にしておかぬ」という小林一三の言葉に触れつつ、私からは夢を持つこと、志を持つことの大切さを自の経験と事例をもって説明し、最後に「夢や願望は誰でも持てるが、強い志をもって、自ら考え行動しなければ、決して夢の実現はない。」という言葉を皆に送って講義を終えました。この講義のあと、学生から大変な数の感想レポートを頂戴しました。それぞれに現在の自分を見つめ直し、将来に向けた想い・夢をしっかりと述べたもので、現代の日本の若者であっても「打てば響く」ということを実感することができました。そうした環境を創ることが大事であり、我々大人がしっかりと教え、自ら示すことが必要であると感じています。

多くの若者が、夢を持てる国、持てる会社になってほしいと強く願っています。夢が具体的な目的にまで明確に示されたとき、その夢を実現する可能性は高いと言われていますが、夢、目的を持たずにただ進めば成果は出にくいです。私は常々、皆さんにトップの仕事を3つ挙げるとすると、1つが「ビジョンを示し共感させること」、二つ目が「正しい判断をし、決断すること」、そして三つめが「リスクへの対応」と言っておりますが、社員が会社で自分の夢・目的を描くとき、その「目標」になるのが、会社のビジョンです。夢の実現のためには、バックキャスティングの発想が必要です。夢の実現に向けて目的、目標が明確になれば、具体的な行動に繋がっていきます。努力や我慢にもエネルギーを注ぎ込むことができるようになります。「何のために何をすべきか」がわかり、仕事上の必要な判断を下すことができ、それを積み重ねることで、「プロ」が育つのです。
新しい年の始まりに、皆さんには是非、自分の夢は何か改めて思い浮かべていただきたいと思います。個人的な夢、会社での夢、仕事上での夢、色々あるとは思いますが、今年は一つでも具体的な目的のレベルまで高め実現に向け頑張ってください。常に話しておりますけれど、リーダーとは、自ら「志」を持ち、「人」「組織」を動かし、「目的」を達成できる人です。各社トップには、社員とともに会社のビジョンを共有し、強い企業をつくっていただきたいと思います。

2.東急(株)取締役社長 堀江正博 年頭あいさつ (東急㈱社員に対する年頭メッセージ)

(1)日 時 2025年1月6日(月) 9時30分
(2)要 旨
年末年始の営業では、大きな事故もなく、未然防止に取り組んでくれた現場の皆さんに心から感謝いたします。

昨年は、3月に中期経営計画を公表し、新しい発想で事業に臨むことになりました。人流の回復・インバウンド需要の盛り上がりで業績は好調に推移しております。各方面で話題になった各プロジェクトの新規開業はもとより、新たな取り組みもございました。長年に亘る事業への取り組みの結果、沖縄展開60周年と宮古島東急ホテル40周年、西豪州のヤンチェップ サン シティ社では50周年、タイのサハ東急コーポレーション社では10周年を、それぞれ地元政財界の方々やパートナー、従業員と祝うことが出来ました。実績と信用を背景に超長期のプロジェクトにしっかりと向き合えるのが当社の強みであることを再認識いたしました。

注目すべき今年の社会経済環境ですが、内外の政治動向からすると、過去経験したことのないさまざまな変化に見舞われ、これまでの常識が通用しなくなると見ています。過去の経験則のみに囚われず、新しい発想がますます必要になっていきます。現在の為替水準は適切ではないと考えていますが、日本が抜本的な成長戦略を提示できなければ当面円安が続くと思います。IT・エネルギーの貿易赤字は拡大が続き、国富の流出は懸念材料であります。当社が出来ることは、インバウンド需要をしっかり取り込むこと、また海外事業を着実に進めて外貨を獲得することだと思います。渋谷に海外から「ヒト、モノ、カネ」を呼び込みましょう。

今年の具体的な取り組みの方向性ですが、渋谷や沿線・各拠点に各種人口の誘致を進め、住みたくなる・働きたくなる・訪れたくなるような施策を打っていきます。循環再投資により事業エリアをますます魅力的にし、また、地域コングロマリット経営を深化させて、収益力を強化し、コングロマリットプレミアムを創造していきたいと思います。建築費の高騰は重荷ではありますが、主要な再開発事業を確実に推進したい。交通ネットワーク効果の拡充とその成果を連結各事業全体で取り込みたいと思います。
内部成長については、既存事業の伸びしろは大きいと判断しております。各事業のさらなる強化を図り、既存事業への追加投資、新しい売り方や新商品開発を手掛けていきます。
事業連携については、各社各事業部間の連携を促進しシナジー効果を引き出します。その要は情報が集まる各社各部門のトップです。私も含め連携の切っ掛けはトップも作るべきであり、連携により、小さな努力で大きなリターンが期待できます。連携にあたっては、顧客組織を活かすことも重要です。中でもBunkamuraなどのチケットをオンラインで購入できるサービス「MY Bunkamura」の登録者が100万人を達成しそうです。カード会員、ポイント会員、東急ファミリークラブ会員、109シネマズ会員、ロイヤルクラブ会員など会員組織の連携を図っていきます。
顧客施策と価格施策については、商品サービスの質的向上を図り、それに見合う対価を頂戴できるようにします。「安かろう悪かろう」ならぬ「高かろう悪かろう」がないように、とにかく内外のリピーターを増やすことが肝要です。特に、インバウンド比率の上昇で、国内顧客へのアプローチを再度強化する局面にあります。また、昨年の乗車ポイントサービス導入で東急ポイントシステムの裾野が拡大しましたので、その魅力付けを図っていきます。
人手不足については、当社新卒採用を強化する他、当社からの転職者のリジョイン制度の拡充や、当社再々雇用の拡充のため働きやすい形態を考えていきます。またグループ全体で、特に沿線シニア層の活躍の場を提供していきたいと思います。

中期経営計画のキーワードである「Creative Act.」は、創造力でしなやかに行動することでさまざまな課題を解決し、明るい未来を作っていくこと、と定義しました。Act.はActionであり、またActiveも意味します。今年はこれに「Proactive=積極的、率先的に」をキーワードに加えたいと思います。指示されたからやる、ではなく「Proactive=積極的、率先して」自ら進んで取り組み、一人ひとりが小さなことから目の前の仕事をクリエイティブな視点をもって改善していっていただきたいです。Creativeな発想で、豊かで美しく、楽しい生活環境を東急線沿線やその他の各拠点で提供し、世界が憧れる街づくりを実現すべく自ら行動する一年にしていきましょう。

別紙を含めた本件に関するPDFはこちら (207.75 KB)

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