抗体-薬物複合体PADCEV (TM)(エンホルツマブ ベドチン)シスプラチン適応の筋層浸潤性膀胱がんを対象とした第III相EV-304試験において良好な結果が判明

2025/12/18  アステラス製薬 株式会社 

プレスリリース

抗体-薬物複合体PADCEV (TM)(エンホルツマブ ベドチン)シスプラチン適応の筋層浸潤性膀胱がんを対象とした 第III相EV-304試験において良好な結果が判明

2025年12月18日

- エンホルツマブ ベドチンとぺムブロリズマブの併用療法は
シスプラチン適応の筋層浸潤性膀胱がん患者における術前術後の補助療法として
白金製剤を用いずに無イベント生存期間・全生存期間を改善した唯一の治療法 -

アステラス製薬株式会社(本社:東京、以下「アステラス製薬」)は、Pfizer Inc.(本社:米国ニューヨーク州、以下、「Pfizer」)と共同で開発を進めている抗体-薬物複合体(Antibody-Drug Conjugate:ADC)であるPADCEVTM(一般名:エンホルツマブ ベドチン(遺伝子組換え))とMerck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA(米国とカナダ以外ではMSD)の抗PD-1抗体Keytruda®(一般名:ペムブロリズマブ(遺伝子組換え))の併用療法について、シスプラチン適応の筋層浸潤性膀胱がん(Muscle Invasive Bladder Cancer:MIBC)患者を対象とした第III相EV-304試験(KEYNOTE-B15試験)の中間解析において、良好な結果が得られたことをお知らせします。EV-304試験では、シスプラチンを用いた化学療法に適応のあるMIBC患者を対象に、術前術後の補助療法としてのエンホルツマブ ベドチンとペムブロリズマブの併用療法(以下「本併用療法」)と、現在の標準治療である術前補助化学療法(ゲムシタビンとシスプラチン)(以下「術前化学療法」)を比較しています。EV-303試験に続くEV-304試験の良好な結果は、より早期の膀胱がんにおける、化学療法を用いない治療法として、重要なエビデンスとなることが期待されます。

中間解析で本併用療法群は、術前化学療法群と比較して、無イベント生存期間(Event-Free Survival:EFS)、および全生存期間(Overall Survival:OS)において、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示し、主要評価項目(EFS)と副次評価項目(OS)を達成しました。また、その他の副次評価項目である、術前補助療法としてのエンホルツマブ ベドチンとペムブロリズマブの併用療法と術前化学療法を比較した病理学的完全奏効(pathological Complete Response:pCR)率についても、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示しました。本併用療法群の安全性は、既存の治療レジメンで知られているプロファイルと同様でした。

膀胱がんは、世界で9番目に多いがんであり、世界中で毎年614,000人以上(その内米国では約85,000人)が膀胱がんと診断され1,2、MIBCは膀胱がんの約30%を占めています3。シスプラチンに適応があるMIBC患者に対する現在の標準治療は、シスプラチンを用いた術前化学療法とそれに続く手術です4。しかし、約半数のMIBC患者が、手術後の再発を経験するとされています5

本併用療法は、現在シスプラチン適応のMIBCにおける術前術後の補助療法として承認されていません。EV-304試験の結果については、今後の学会等で発表するとともに、承認申請の可能性を検討するためにグローバルで規制当局と協議する予定です。

また、シスプラチンを用いた化学療法に不適応のMIBCにおいて、良好な結果が得られたEV-303試験(KEYNOTE-905試験)に基づき、PADCEVとペムブロリズマブまたはペムブロリズマブ+ベラヒアルロニダーゼ アルファ-pmphの併用療法は、術前術後の補助療法として、米国FDAから承認を取得しています。

アステラス製薬は、患者さんに新たな治療選択肢を提供することで、アンメットメディカルニーズの高い膀胱がんの治療に一層の貢献をしていきます。

本件によるアステラス製薬の通期業績への影響は、通期(2026年3月期)連結業績予想に織り込み済みです。

以上

EV-304試験について

現在進行中のEV-304試験は、シスプラチンを用いた化学療法に適応のあるMIBC患者を対象に、術前術後の補助療法としてエンホルツマブ ベドチンとペムブロリズマブの併用療法と、術前補助化学療法(ゲムシタビンとシスプラチン)を比較評価する、非盲検無作為化第III相試験です。被験者は、併用療法群、術前化学療法群に無作為に割り付けられました。いずれの群においても、術前の全身治療の後、膀胱摘除術が実施されました6

主要評価項目は、併用療法群と術前化学療法群を比較したEFSです。これは、次のいずれかのイベントの最初の発生までの時間として定義されます:膀胱全摘除術(Radical Cystectomy: RC)を妨げる病勢の進行、残存病変を有する患者がRCを受けられなかった場合、手術時の肉眼的残存病変、画像検査および/または生検によって評価された局所または遠隔の再発、原因を問わない死亡。主な副次評価項目は、OSならびにpCR率です6

EV-304試験の詳細は、www.clinicaltrials.gov.を参照ください。

PADCEVTM(エンホルツマブ ベドチン(遺伝子組換え))について

エンホルツマブ ベドチンは、ほぼ全ての尿路上皮がん細胞に発現し、細胞間の接着に関連するタンパク質であるネクチン-4を標的とするファーストインクラスのADCです7。非臨床試験データから、エンホルツマブ ベドチンの抗腫瘍活性は、がん細胞上でエンホルツマブ ベドチンがネクチン-4に結合して標的細胞内に取り込まれると細胞障害性物質であるモノメチルアウリスタチンE(Monomethyl auristatin E:MMAE)が放出され、細胞増殖抑制(細胞周期停止)および細胞死(アポトーシス)が生じることによることが示唆されています8

エンホルツマブ ベドチンとペムブロリズマブの併用療法は、局所進行性または転移性尿路上皮がん(locally advanced or metastatic urothelial cancer:la/mUC)に対する治療法として、米国、欧州、日本を含む世界各国で承認されています。また、エンホルツマブ ベドチンは、PD-1/PD-L1阻害剤および白金製剤を含む化学療法による治療歴のあるla/mUC患者、またはシスプラチン不適応でこれまでに治療歴のあるla/mUC患者に対する単剤療法としても承認されています9

アステラス製薬株式会社について

アステラス製薬は、科学の進歩を患者さんの「価値」に変えることを目指すグローバルライフサイエンス企業です。私たちは、がんや、眼科・泌尿器疾患、免疫、ウィメンズヘルスなどの多様な領域において、革新的な治療法を提供しています。研究開発プログラムを通じて、アンメットメディカルニーズの高い疾患領域において新たなヘルスケアソリューションを開拓しています。

アステラス製薬の詳細については、www.astellas.comをご覧ください。

PfizerMerck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAとの提携について

Seagenとアステラス製薬は、治療歴のない転移性尿路上皮がん患者を対象に、PADCEVTM(エンホルツマブ ベドチン)とMerck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA(米国とカナダ以外ではMSD)のKeytruda®(ペムブロリズマブ)の併用療法を評価するために、臨床開発の提携契約を締結しています。既にご案内した通り、2023年12月14日にPfizerはSeagenの買収を完了しました。KEYTRUDA®はMerck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAの子会社であるMerck Sharp & Dohme Corp.の登録商標です。

注意事項

このプレスリリースに記載されている現在の計画、予想、戦略、想定に関する記述およびその他の過去の事実ではない記述は、アステラス製薬の業績等に関する将来の見通しです。これらの記述は経営陣の現在入手可能な情報に基づく見積りや想定によるものであり、既知および未知のリスクと不確実な要素を含んでいます。さまざまな要因によって、これら将来の見通しは実際の結果と大きく異なる可能性があります。その要因としては、(i)医薬品市場における事業環境の変化および関係法規制の改正、(ii)為替レートの変動、(iii)新製品発売の遅延、(iv)新製品および既存品の販売活動において期待した成果を得られない可能性、(v)競争力のある新薬を継続的に生み出すことができない可能性、(vi)第三者による知的財産の侵害等がありますが、これらに限定されるものではありません。また、このプレスリリースに含まれている医薬品(開発中のものを含む)に関する情報は、宣伝広告、医学的アドバイスを目的としているものではありません。

参考文献

1 World Bladder Cancer Patient Coalition. GLOBOCAN 2022: Bladder cancer 9th most common worldwide. Accessed December 4, 2025. Available at: https://worldbladdercancer.org/news_events/globocan-2022-bladder-cancer-is-the-9th-most-commonly-diagnosed-worldwide/
2 American Cancer Society. Cancer Facts & Figures 2025. Accessed December 4, 2025. Available at: https://www.cancer.org/research/cancer-facts-statistics/all-cancer-facts-figures/2025-cancer-facts-figures.html
3 Bladder Cancer Awareness Network. What is Muscle Invasive Bladder Cancer? Accessed December
4 2025. Available at: https://bcan.org/what-is-muscle-invasive-bladder-cancer/#:~:text=When%20tumors%20grow%20into%20or,Virginia%20Health%20System%20explain%20MIBC.
5 Funt SA, Rosenberg JE. Systemic, perioperative management of muscle-invasive bladder cancer and future horizons. Nat Rev Clin Oncol. 2017 Apr;14(4):221-234. doi: 10.1038/nrclinonc.2016.188. Epub 2016 Nov 22. PMID: 27874062; PMCID: PMC6054138.
6 Squires P, Cook EE, Song Y, Wang C, Zhang A, Seshasayee SM, Rogiers A, Li H, Mamtani R. Treatment Patterns, Disease Recurrence, and Overall Survival in Patients with Muscle-Invasive Bladder Cancer after Radical Cystectomy: A Population-Level Claims-Based Analysis. Clinical Genitourinary Cancer. 2025 Nov;102466. https://doi.org/10.1016/j.clgc.2025.102466.
7 National Institute of Health. National Library of Medicine. Perioperative Enfortumab Vedotin (EV) Plus Pembrolizumab (MK-3475) Versus Neoadjuvant Chemotherapy for Cisplatin-Eligible Muscle Invasive Bladder Cancer (MIBC) (MK-3475-B15/​ KEYNOTE-B15 /​ EV-304) (KEYNOTE-B15). ClinicalTrials.gov identifier: NCT04700124. Published January 7, 2021. Updated August 26, 2025. Accessed December 4, 2025. Available at: https://www.clinicaltrials.gov/study/NCT04700124.
8 Challita-Eid PM, Satpayev D, Yang P, et al. Enfortumab vedotin antibody-drug conjugate targeting nectin-4 is a highly potent therapeutic agent in multiple preclinical cancer models. Cancer Res 2016;76(10):3003-13.
9 PADCEV [package insert]. Northbrook, IL: Astellas Pharma US, Inc.

お問い合わせ先:

アステラス製薬株式会社
広報
TEL: 03-3244-3201

抗体-薬物複合体PADCEV (TM)(エンホルツマブ ベドチン)シスプラチン適応の筋層浸潤性膀胱がんを対象とした 第III相EV-304試験において良好な結果が判明

376 KB

1 /

関連業界