ヘリオスeNK細胞の肺がんに対する抗腫瘍効果に関する論文が“Cancer Immunology, Immunotherapy”に掲載

2026/04/02  株式会社 ヘリオス 

2026 年4月2日
株式会社ヘリオス

ヘリオスeNK®細胞の肺がんに対する抗腫瘍効果に関する論文が “Cancer Immunology, Immunotherapy” に掲載

当社及び開発パートナーである株式会社Akatsuki Therapeuticsは、eNK細胞®*1を用いた新たな治療法の研究を進めております。このたび、遺伝子導入によりCCL19、CCR2B、高親和性CD16、IL-15、NKG2D-DAP10複合体を発現させたヒトiPSC由来NK細胞(eNK®細胞)の肺がんに対する抗腫瘍効果に関する当社研究員による学術論文が、査読付きジャーナル、“Cancer Immunology, Immunotherapy” に掲載されましたのでお知らせいたします。

本研究では、eNK®細胞が、肺がんを含む難治性固形がんに対する画期的な“off-theshelf”同種細胞療法となりうる可能性を明らかにしています。

タイトル:An innovative treatment for lung cancer using gene-engineered human
induced pluripotent stem cell-derived natural killer cells
掲載誌:Cancer Immunology, Immunotherapy
DOI :10.1007/s00262-026-04370-7
執筆者:Yuka Sato 1), Kumiko Goto 1) *, Shigehiro Yagishita 2), Kotoko Miyata 1), Noriko Uesugi 1), Yu-suke Torisawa 1), Yoichi Naritomi 1), Ryuta Takahashi 1), Rumiko Sho 1), Yuriko Takeno 1), Kenji Kurachi 1), Masashi Yamada 1), Yasuyuki Higashi 1), Hironobu Kimura 1), Akinobu Hamada 2), Fusako Nishigaki 1) * and Kouichi Tamura 1) 1) Kobe Research Institute, HEALIOS K.K., Kobe, Japan. 2) Division of Molecular Pharmacology, National Cancer Center Research Institute, Tokyo, Japan.
*: Correspondence Author

概要:

肺がんに対しては、化学療法、放射線療法、免疫チェックポイント阻害剤など、さまざまな治療法が開発されてきた。しかし、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法を含むこれらの治療法は、固形がん、特に進行期のがんに対しては、その有効性に限りがあることが示されている。

治療効果を高めるため、我々は新しい細胞療法の多様な作用に着目し、遺伝子導入した人工多能性幹細胞(iPSC)由来のNK細胞である「遺伝子導入ナチュラルキラー(eNK®)細胞」を作製した。この細胞は、CCモチーフリガンド19(CCL19)、 CCケモカイン受容体2B型(CCR2B)、高親和性CD16(CD16)、インターロイキン(IL)-15、およびナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)-DNAX活性化タンパク質10(DAP10)複合体を発現させるように設計されたiPS細胞由来のNK細胞である。in vitro 試験では、eNK® 細胞がヒト肺がん細胞株に対して、著しい持続性細胞毒性および抗体依存性細胞傷害(ADCC)を示すことが明らかになった。生体内では、eNK®細胞は同所性および皮下移植の細胞株由来異種移植(CDX)モデルにおいて、ほぼ完全な腫瘍退縮を達成した。対照的に、患者由来異種移植(PDX)モデルでは、eNK®細胞は単剤療法として軽度の腫瘍増殖抑制(28%の減少)を示したが、セツキシマブとの併用により抗体依存性細胞傷害作用を介して有効性が有意に増強され(53%の抑制)、良好な結果が得られた。治療を受けたPDX腫瘍において、腫瘍実質内にヒトCD45陽性細胞が検出され、投与されたヒト細胞が腫瘍内に存在していることが裏付けられた。

これらの知見は、6つの遺伝子導入が、固形がん治療において腫瘍へのホーミング能、持続性、および細胞傷害性を高めることに寄与する可能性を裏付けている。本研究は、eNK®細胞が、肺がんを含む難治性固形がんに対する、画期的な”off-the-shelf”同種細胞療法としての可能性を強く示している。

以上

* eNK®細胞

開発コード:AKT-01/HLCN061(engineered NK cells)

遺伝子導入技術により細胞傷害活性の増強だけでなく、患者免疫細胞のリクルート(呼び込み)や固形がんへの浸潤特性も強化された、当社が開発した独自の遺伝子導入 iPSC(人工多能性幹細胞)NK 細胞プラットフォームです。当社および開発パートナーである株式会社Akatsuki Therapeutics では、自社研究の成果として、eNK®細胞の作製に成功するとともに、eNK®細胞がヒト肺がん細胞生着マウスモデル、ヒト肝がん細胞生着モデルマウス、ヒト中皮腫細胞生着マウスモデル、さらに肺がん患者由来のがんオルガノイド(FPDO®: Fukushima Patient-Derived Tumor Organoid)に対して抗腫瘍効果を有することを確認しています。また、国立研究開発法人国立がん研究センターとの共同研究において、国立がん研究センターが保有する複数種類のがん種に由来する PDX(Patient-Derived Xenograft:患者腫瘍組織移植片)移植マウスを用いてヒト肺がん組織に対するeNK®細胞の抗腫瘍効果を確認しています。また、兵庫医科大学と eNK®細胞を用いた中皮腫に対するがん免疫細胞療法に関する共同研究を、国立大学法人広島大学大学院と eNK®細胞を用いた肝細胞がんに対するがん免疫細胞療法に関する共同研究を進めています。さらに、国立大学法人九州大学と、CAR-eNK 細胞を用いた脳腫瘍に対するがん免疫細胞療法に関する共同研究を進めています。自社研究においては、eNK®細胞が中皮腫皮下移植モデルマウス、肺がん同所生着モデルマウス、肝がん皮下移植モデルマウス、及び胃がん腹膜播種モデルマウスに対して抗腫瘍効果を有すること、生体におけるがんと同様の環境を有している肺がん患者由来のがんオルガノイドにおいても、同様に抗腫瘍効果があることを確認しております。現在、eNK®細胞を用いた治験の開始を目指し、PMDAや米国FDAと相談を進めています。

■株式会社ヘリオスについて

再生医療は、世界中の難治性疾患の患者さんにとって新たな治療法として期待されています。この分野では、製品開発・実用化への取り組みが広がり、将来的には大きな市場となることが見込まれています。ヘリオスは、iPS細胞(人工多能性幹細胞)などを用いた再生医薬品開発のフロントランナーとして、実用化の可能性のあるパイプラインを複数保有するバイオテクノロジー企業です。2011年に設立、2015年に株式上場(東証グロース: 4593)し、再生医薬品の実用化を目指して研究開発を進めています。体性幹細胞再生医薬品分野では、健康な成人ドナー骨髄由来の体性幹細胞から成る独自の細胞製品であるHLCM051を使用した急性呼吸窮迫症候群(ARDS)や脳梗塞急性期及び外傷の治験を実施しています。HLCM051は、強力な抗炎症作用と免疫調節作用を示すことが示されており、様々な病態への応用が可能です。後期臨床試験において数百人の患者さんで試験され、3D培養法で一貫して製造されており、複数の適応症において数百人の患者さんで安全性と有効性の両方が実証されています。ヘリオスは、脳梗塞急性期、ARDS、外傷に対し、HLCM051をグローバルに推進してまいります。iPSC再生医薬品分野では、免疫拒絶のリスクを低減する次世代iPS細胞であるユニバーサルドナーセル(UDC: Universal Donor Cell)を作製し、さらには、遺伝子導入技術により固形がんに対する殺傷能力を強化した次世代NK細胞(eNK®細胞)の開発を、当社の開発パートナーである株式会社Akatsuki Therapeutics の主導で進めています。eNK®細胞は、動物モデルにおいて強固な抗腫瘍効果を実証しており、大量生産が可能な3Dバイオリアクターでの製造プロセスを実現しています。これらにより、がん免疫領域をはじめ、眼科領域、肝臓領域などで新規治療薬の開発に取り組んでいます。 https://www.healios.co.jp

■株式会社Akatsuki Therapeutics について

株式会社Akatsuki Therapeutics (以下、「Akatsuki社」と言います。本社:大阪府大阪市北区角田町8番1号、代表取締役社長:齊藤光、Saisei Ventures LLCのポートフォリオ企業)は、がんやその他の重篤な疾患の治療を変革する可能性を秘めた革新的な細胞免疫療法を開発しています。Akatsuki社の主力プログラムは、高度な遺伝子強化、細胞のリプログラミング、スケーラブルな製造を活用して、既存の細胞療法の限界に対処します。アクセス容易な、即座に使用可能なソリューションを創出するという使命のもと、Akatsuki 社は、世界中の患者さんがより良い医療を受けられるように画期的な治療法を提供し、医療の水準を向上させることを目指しています。

■Saisei Ventures LLC について

Saisei Ventures LLC は、ライフサイエンス分野に特化したベンチャーキャピタルファームであり、ヘルスケア業界における次世代を担う企業の創出に尽力しています。Saisei Ventures LLC は、大胆なアイデアを起点にベンチャーを立ち上げ、技術面、運営面、財務面における専門的な指導を提供することで、活力に満ちた起業家を力強く支援します。Saisei Ventures LLC のアプローチは、西洋の専門知識と日本の革新的な技術を融合させることで、患者の生活に最大のインパクトを与えるグローバル競争力の高い企業を創出することにあります。日本と米国の双方を拠点に事業を展開し、両国の独自のネットワークと制度的優位性を最大限に活用することで、ポートフォリオ企業の価値向上に貢献しています。https://www.saiseiventures.com/

本件に関するお問合せ先
IR 広報部 ir@healios.jp

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