『IOWN APN』を活用した東京-福岡間の遠隔分散型AIインフラ実証において、ワークロード特性に応じた実用性能を確認

2026/03/30  NTT 株式会社 

~GPUとストレージの遠隔分散環境が実用段階へ~

 GMOインターネットグループのGMOインターネット株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役 社長執行役員:伊藤 正、以下、GMOインターネット)、NTT東日本株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:澁谷直樹、以下、NTT東日本)、NTT西日本株式会社(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:北村亮太、以下、NTT西日本)、株式会社QTnet(本社:福岡県福岡市、代表取締役社長:小倉 良夫、以下、QTnet)は、「IOWN (Innovative Optical and Wireless Network)」の「APN (All-Photonics Network)」を活用した東京-福岡間の遠隔分散型AIインフラの技術実証を完了しました。



 本実証では、2025年11月から2026年2月にかけて、東京(ストレージ)-福岡(GPU)間にIOWN APN実回線を敷設し、「GMO GPUクラウド」のGPUと大容量ストレージを接続したAI開発基盤でのAIワークロード性能を測定・評価しました。その結果、大規模言語モデル(LLM)の学習においては、ローカル環境との比較でわずか約0.5%の性能低下にとどまり、その影響は極めて限定的であることを確認しました。データ読み込みを伴う画像分類タスクについても、学習データの最適化等により、遠隔環境でも実用レベルでの処理が可能であることを確認しており、ワークロードの特性に応じた設計により、遠隔分散環境での実用的なAI開発が可能であることを実証しました。
 なお、本実証に先立ち、4社は2025年7月に事前実証(Phase1)として、東京‐福岡間(約1,000km)を想定した疑似遠隔環境での性能テストを実施しており、その詳細を技術レポートとして公開しています。

プレスリリース:https://www.ntt-east.co.jp/release/detail/20251002_01.html
技術レポート:https://www.ntt-east.co.jp/release/detail/pdf/20251002_01_01.pdf
 
 4社は今後も本実証の成果をもとに、お客様のニーズに応じた遠隔分散型AIインフラの実用化に向けた取り組みを進めてまいります。

背景と目的
 近年の生成AIや大規模言語モデル(LLM)の普及に伴い、AI開発基盤の需要が急拡大しています。従来、GPUと大容量ストレージは物理的に隣接した配置が必須とされてきましたが、データセンターのスペース制約や、自社拠点でデータを管理したいというニーズに対応するため、地理的制約を超えた分散型AI開発基盤の実現が求められています。4社は、高速大容量かつ低遅延という特徴を持つIOWN APNを活用し、遠隔地にあるGPUとストレージを接続した際の技術的実現可能性を検討してまいりました。

▼AI開発基盤の構築における課題例




【事前実証(Phase1)の概要と結果】
 2025年7月に福岡のデータセンター内に遅延調整装置「OTN Anywhere」を設置し、GMO GPUクラウドを利用して画像認識(ResNet)と言語学習(Llama2 70B)の2つの試験タスクを実行しました。東京-福岡間相当(15ミリ秒)の疑似遅延条件において、ResNetのベンチマークスコアの低下は12%程度であることを確認し、商用利用可能な範囲と判断し本実証へと進めました。

【本実証(Phase2)の概要と結果】
 本実証では、実際の拠点間ネットワークとして、GMOインターネットグループの第2本社(東京・渋谷区)とQTnetのデータセンター(福岡・福岡市)をIOWN APN(100GbE)で接続しました。福岡側にGPUサーバー「NVIDIA HGX H100」、渋谷側に高速ストレージ「DDN AI400X2」を配置し、遠隔ストレージを利用した際のAI学習性能を測定しました。
- 実証期間: 2025年11月~2026年2月
- 接続区間: 東京都渋谷区(GMOインターネット) ~ 福岡県福岡市(QTnet)
- 実証内容: 画像分類タスク(ResNet)および大規模言語モデル処理タスク(Llama2 70B)における学習時間の測定


【実証の結果】
 実証実験の結果、IOWN APNを経由した遠隔分散環境においても、ローカル環境(同一データセンター内接続)と遜色ないパフォーマンスを発揮することを確認しました。
大規模言語モデル(Llama2 70B)学習タスク
- ローカル環境 :24.87分
- 遠隔環境(IOWN APN経由):24.99分
- 演算処理が主体となるLLM学習では、遅延の影響は極めて限定的(約0.5%の差)であることを実証しました。

画像分類(ResNet)タスク
- ローカル環境 :13.72分
- 遠隔環境(IOWN APN経由):14.38分
- データ読み込みが発生するタスクにおいても、適切なデータ整形を行うことで、遠隔環境でも実用レベルでの処理が可能であることが確認されました。

※本検証の結果はMLCommons Associationによる公式な検証・承認を受けたものではありません。

詳細は以下、別紙をご確認ください。
『IOWN APN』を活用した遠隔分散型AIインフラにおけるGPU・ストレージ間接続性能テストの詳細と結果

本実証がもたらす変革
 本実証の成功は、物理的な距離による「計算資源とデータの分離」という課題を解決する大きな転機となります。従来、AI学習に必要なデータはクラウド事業者のデータセンターへ転送・複製することが一般的でしたが、本実証が示した「データは動かさず、計算資源が遠隔からデータへアクセスする」モデルはデータ主権やセキュリティ要件が厳しい分野における新たな選択肢を提示するものです。これにより、データ転送の時間とコストの削減、重複管理の排除、オンプレミスとクラウドを組み合わせた計算資源の選択肢拡大が可能になると考えられます。とりわけ、データを自社施設・自組織の管理下に置いたまま国内クラウドのGPUリソースを活用できるこのモデルは、金融・医療・防衛・行政といった内部統制やデータ越境規制が厳しい分野での「ソブリンクラウド」実現に大きく貢献するものと期待されます。

【期待される活用事例】
 本実証で確認された技術の実用化により、以下のような活用が期待されます。なお、実際の適用にあたっては、GPUとストレージ間の距離やネットワーク構成等の個別の条件により性能が変動する可能性があるため、ユースケースごとに適用可否を検討していく必要があります。
- 大規模学習データ、または機密データを保持した状態でのAI学習:自社管理下のデータを外部に保存することなく、遠隔のクラウドGPUでAIモデルの学習を実行。
- 既存のオンプレミス環境とのハイブリッド活用:自社の既設ストレージ、GPUリソースを活用しながら、不足するGPUリソースをクラウドから調達し、柔軟なAI開発環境の整備。
- 地方分散配置によるBCP対応:計算資源とストレージを地理的に分散することで、災害や障害時にもAI処理継続性を確保した高可用性環境を構築。

 本実証はIOWN APNが単なる通信回線にとどまらず、AIやクラウド基盤を支える社会インフラへと発展していく道筋を示したものです。4社は今後、IOWN APN(NTT東日本・NTT西日本の「All-Photonics Connect powered by IOWN」)の普及と「GMO GPUクラウド」をはじめとするクラウドサービス事業者、ならびにQTnetなどの地方データセンターとの連携を進めることで、IOWN APNがAI基盤のバックボーンとして社会実装していくことを目指してまいります。

※報道発表資料に記載している情報および実証結果は発表日時点のものです。本内容は特定の検証環境下において得られたものであり、いかなる環境においても同等の性能・結果を保証するものではありません。

【本件に関するお客さまからのお問い合わせ先】
●GMOインターネット株式会社
ドメイン・クラウド事業本部GPUクラウド事業部
お問い合わせ:https://gpucloud.gmo/form/

●NTT東日本株式会社
経営企画部 IOWN推進室
E-mail:iownlab-ml@east.ntt.co.jp

●NTT西日本株式会社
技術革新部 IOWN推進室
E-mail:iown-pr@west.ntt.co.jp

●株式会社QTnet
東京支店
TEL:03-5843-7541
E-mail:tokyo_branch@qtnet.co.jp


【GMOインターネット株式会社】(URL:https://internet.gmo/


【NTT東日本株式会社】(URL:https://www.ntt-east.co.jp/


【NTT西日本株式会社】(URL:https://www.ntt-west.co.jp/


【株式会社QTnet】(URL:https://www.qtnet.co.jp/


【GMOインターネットグループ株式会社】(URL:https://group.gmo/

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