原材料の小麦の価格変動に大きく影響を受け、定番品以外の商品ライフサイクルが短く商品開発競争が熾烈
即席めん・パン・菓子という商品に共通する特徴として、次の3つが挙げられる。
・およそ9割を輸入に依存する原材料の小麦の価格変動の影響を大きく受ける
・季節によって需要が変動する
・いわゆる定番品以外の商品ライフサイクルが短命であり、各社の新商品開発競争が熾烈である
さらにカテゴリ別の特徴としては次のようなものが挙げられる。
【即席めん】
価格が手ごろで、調理が簡易であるため、若年層から中高年に至るまでの幅広い層に消費される人気商品である。節約志向に対応した低価格のものから、生めんを用いたものや、レトルトの食材を具に使用したような高級志向のものまで、きわめて多様な商品が存在する。また需要の落ち込む夏季向けには、氷を入れて食べるタイプのカップめんが発売されるなど、多彩な商品が開発・提案されている。調理に手間がかかる袋めんよりも、カップめんの消費量が大きいが、袋めんにも一定の需要が存在し、継続的に新商品が投入されている。
事業上のリスクとしては近年、商品への異物混入がSNSを通じて拡散された結果、当該商品が販売・生産中止に追い込まれるという事態が発生した。以前にも増して梱包品質や食の安全面における管理が重要となっている。
また、国内市場が成熟する中、日本メーカーの即席めんは海外での販売が伸びており、ベースとなるスープの味や麺の形状、長さを各国の食文化に適合させた商品が販売されている。
【製パン】
パンの種類としては食パン、菓子パン、調理パンが存在する。近年の消費者の個食化の影響を受け、主力商品は従来の食パンから菓子パン、調理パンへとシフトしている。
パン流通市場では「焼きたてパンの提供」という付加価値で勝負する、製造小売型のフレッシュベーカリーが全国に存在している。近年は大手製パンメーカーもベーカリーチェーンを展開するようになっている。
【菓子】
菓子市場では、クリスマスにはケーキ類、バレンタインにはチョコレート、夏季にはアイスキャンデー等の冷菓の消費が伸びるといったように、商品ごとにインベントや季節による変動が大きい。
近年、新商品開発が特に激しい菓子市場では、消費者の嗜好の多様化に対応する形で、ビターな味の大人向け商品や、低カロリー商品、機能性をうたった健康志向の商品などが出荷を伸ばしている。また季節限定商品、地域限定商品、復刻版商品なども展開が活発である。