必需品の取扱が中心であり、短期的な変動よりも長期的な環境の変化の影響を受ける
酒類・食品卸業者は、食品メーカーからの供給を受け、買い手が小売業者や外食業者となる。取り扱う商品となる飲食料品は、多くが生活必需品である。したがって景気動向から受ける影響は比較的軽微であるが、菓子・飲料・酒類をはじめ、品目別に見ると、社会的な動向や流行などの影響を受ける商品も多い。
酒類・食品卸があつかう飲食料品の特徴として、コモディティ化した商品が多いため、卸企業としては、商品そのものではなく、流通に関わる各種のサービスで差別化を狙う場合が多い。サービスの内容としては以下のように分けることができる。
・商 流:営業活動を通して販促をおこない、買い手からの受注受付や、メーカーへの発注、出荷手配をおこなう。
・物 流:倉庫における商品在庫の管理と発送業務、配送までの流通の管理。需給の変動に対するバッファの役割を果たす。
・金 流:買い手と売り手の間の決済を代行し、支払サイトなどの取引条件を調整する。
・情報流:売り手に対しては買い手のニーズなどに基づく商品企画・開発提案、買い手に対しては商品情報提供や販売促進企画の提案をおこなう。
これら商流・物流・金流・情報流の各機能を付加価値とし、営業・受注・在庫管理・輸配送・代金決済といった業務を通じて総合的なサービスとして提供するのが食品卸事業である。特に大手の食品卸はこれらを全体的にカバーする総合力や、個々の要素機能力を強みとして掲げることが多く、トータルソリューションとしての提案力を背景に顧客との深い関係性を築くことを目標としている。