セラミックスは、ガラス、セメント、耐火物、陶磁器、ファインセラミックスに大別。出荷額ベースではセメントが大部分を占める。セメントは輸送コストが高く内需に依存し、工場は原料産地と消費地に偏って立地。耐熱性、耐食性、電気絶縁性に優れたファインセラミックスは、需要が拡大する各種電子部品向け用途が主体
セラミックスと呼ばれる窯業製品は、大きくガラス、セメント、レンガなどの耐火物、陶磁器、ファインセラミックスの5つに分けられる。経済産業省の「経済構造動態調査」によると、2022年の窯業・土石製品製造業の出荷額における構成比では、セメント・同製品製造業が40%と最も大きく、ガラス・同製品製造業が19%、ファインセラミックスを含む陶磁器・同製品製造業が12%と続いている。
工業標準化法(JIS法)に規定されるセメントは大きく、全セメント生産高の3/4以上を占め、もっとも一般的なポルトランドセメント、ダムや港湾などにおける大型土木工事に使用される高炉セメントやフライアッシュセメントなどからなる混合セメント、絶対量は少ないが近年伸びている都市ごみ焼却灰や下水汚泥を主原料としたエコセメントの3種類に分けられる。セメントの特徴としては、輸送コストが高いために、内需依存型産業であることが挙げられる。そのため、国内においても主原料の石灰石の有力産地である北九地方や山口県、消費量最大の関東地方の二地域に偏って工場が分布している。
ガラス・セメント・陶磁器といった従来のセラミックスが天然鉱物や粘土を原料とするのに対して、ファインセラミックスは、アラミナや窒化ケイ素といった合成化合物などを原料とする。また製造工程においても、より精密に制御された複雑な工程を経ることで、より耐熱性、耐食性、電気絶縁性、耐摩耗性に優れた特性を持つ。ファインセラミックスは用途別に大きく、集積回路・機能回路用パッケージや基盤などの電子部品に使用される「機能材」と、触媒担体・セラミックフィルタ、断熱材、工具材などの産業用機械部品に使用される「構造材」の2つに分けられ、近年の電子機器の小型化や高機能化にともなう用途拡大が進んでいる「機能材」が生産量ベースで大部分を占める。