アルミニウム、銅製品が主要品目。製品ライフサイクルが長く、大型機械による大量生産のため設備投資を要し、原材料は海外依存
非鉄金属業界の業種および品目に関しては、経済産業省の「工業統計」とそれに使われる商品分類を参照する。また業種、品目ごとの規模感を表すために市場においてそれぞれの品目が占める割合を示した。品目としては銅製品とアルミニウム製品が多いことが見て取れる。代表的な銅製品である”電気銅”は、電解精錬と呼ばれる電気分解を利用した製造法によって作られ、エレクトロニクスや電線などに使用される伝導率の高い銅製品である。またアルミニウム製品は用途によって様々な合金が開発されており、”ジュラルミン”と呼ばれるアルミの軽さと銅やマグネシウムの強度を利用した合金が代表的である。加工工程は、板状や棒状などに加工する圧延や、高圧力で金型に流し込み大量生産が可能なダイカスト製造法が主流である。
これらの品目の特徴は大きく3つあり、大きなプロダクトイノベーションが起きにくく製品ライフサイクルが長いこと、人の手によるプロセスが少なく大型機械による大量生産となるため大規模な設備投資を必要とすること、原材料を海外に依存していることが挙げられる。製品ライフサイクルに関しては各種産業の原材料を製造しているため、機械製品などのように次々と新製品を出していくことはなく、長期的に同一製品を供給している。設備投資が大きい点に関しては、非鉄金属業界は典型的な装置型産業で、製造工程の大半が大型設備を使用するため、資本力のある大企業がコスト優位性を持つ。また近年では日系メーカーの特徴であった技術的な優位性は中国などの新興国メーカーによって脅かされている。原材料に関しては、現在日本での鉱石採掘は非常に少ないため、海外からの輸入に依存しており、仕入れ価格はロンドン金属取引所(LME)で定められる相場と為替レートに左右される。またアルミニウムの鉱石(ボーキサイト)から地金を製造する製錬に関しては、エネルギー効率が非常に悪いことから日系メーカーはコスト競争に敗れ撤退を余儀なくされており、アルミニウムの地金の大半は輸入に頼る状況である。