本業である鉄道は、運賃が政府によって規定されており、輸送量と輸送距離が収益に直結する
鉄道会社が手がける事業は、鉄道事業とその他の事業が存在する。ここでは、本業である鉄道事業を中心に取り扱う。
鉄道事業はさらに、路線などインフラの敷設と維持管理をおこなう「下部」と、実際の輸送を運行する「上部」の2つに分けられる。下部の事業を単独で見ると、設備投資をおこない、その貸与によって賃借料収入を得る、リース業と同様の業態といえる。一方、鉄道事業として直接顧客へのサービスをおこなうのが上部の事業であり、一般的に鉄道事業という場合は、上下の機能を合わせた一体の事業を考える。
鉄道事業の特徴としては、規制産業であるということ、特に運賃(人・物品の運送に対する対価)および料金(運送以外の設備利用・付加サービスなどに対する対価)の決定において、国土交通省による認可が必要となるという点が挙げられる。これは、公共性が高い交通機関として、政府の管理によって利用者の利益を最大化する必要があるためである。鉄道事業は、敷設・開業に必要な投資を回収するために過度な競争が起こる可能性があるほか、一事業者が一定範囲の市場を独占することが多いため利用者の不利益となる高運賃が設定される可能性もあり、それらを防ぎ、利用者の利益を最大化することが求められている。
鉄道輸送における運賃算出の体系は、対キロ制・対キロ区間制・区間(ゾーン)制・均一性と4種類ある。多くの民鉄事業者の間では、一定範囲の距離を基準とする区間に応じた運賃を算出する、対キロ区間制が採用されているが、その他の運賃体系を採用する場合もある。しかし、このように決定できる運賃は、予め認可を受けた上限の範囲内に留まるため、距離あたりの単位運賃を上げることは容易ではない。そのため、鉄道事業による収益を増やすには、輸送人数(貨物は重量)×平均輸送距離で求められる輸送人キロ(貨物は輸送トンキロ)を最大化することが重要となる。