乗合バスと貸切バスに大別されるが、業態によりさらに細かく分けられる
バス事業は道路運送法上において、運行予定時刻(時刻表)と運行経路・乗降場所が事前に定まっている「乗合バス」と、利用者との契約により運行内容を都度決定する「貸切バス」の大きく2つに分類されている。また、乗合バスに分類されるバス事業においても、路線バス・高速乗合バス・観光バスといった業態が存在しており、それぞれ異なる特徴を持つ。
乗合バスには、地域内の日常的な移動を担う路線バス、地域間を結ぶ高速乗合バス、観光地をめぐる定期観光バスなどが存在し、それぞれ異なる特徴を持つ
乗合バスの中でも、一般道路を走行するバスは「(一般)路線バス」と呼ばれる。路線バスは、観光地周辺の路線を除き、地域内の移動を担う公共交通機関としての性格が強い。また、通勤・通学・買い物などで日常的に用いられる交通手段であるため、収益が沿線地域内の人口の多寡に大きく依存する点が、事業としての特徴となっている。
主に短距離の移動を担う路線バスに対し、高速道路で長距離を走行して運送をおこなうのが「高速乗合バス」である。高速乗合バスは、路線バスと同様に運行経路・運行時間が決まっているが、帰省・出張・観光といった旅行における移動を担うことから、事業領域が地域内の日常移動に限定される路線バスに比べ、事業としての安定性は高い。
移動手段としての役割が主である路線バス、高速乗合バスに対し、観光をメインとする業態として「定期観光バス」が存在する。定期観光バスは、ターミナル駅、空港、ホテルなどから出発するコースを日帰りでめぐるバスであり、あらかじめバス事業者が設定したコースに対して利用者が申し込み、参加する。観光施設の見学・体験や食事といった観光商品を組み合せて販売するため、乗合バスの中では観光業・旅行業としての性格が強い業態である。
貸切バスは、他の事業者からの車両運行受託と、団体との直接契約による貸切運行という2つのパターンが存在する。運行受託は買い手市場になりやすい
貸切バスは、事業者が自ら運行経路・運行時間を決めるのではなく、他の事業者あるいは個別の利用者から依頼を受け、その計画に合わせて運行するバスである。大きくは、乗合バス事業者や旅行代理店など企画した運送・旅行商品の車両運行を受託する場合と、スクールバスのように特定の団体と直接契約し、移動手段を提供する場合に分けられる。
貸切バスは定められた経路を運行する必要がないことから、高速乗合バス事業者が運行業務委託をおこなう場合は、複数の貸切バス事業者から委託先を選択することが可能である。そのため、貸切バス事業者同士の間で業務受託を取り合う競争がおこなわれやすく、コストに見合わない無理な価格競争につながることも多い。