乗合バスと貸切バスに大別されるが、業態によりさらに細かく分けられる
バス事業は道路運送法に基づき、運行経路・乗降場所・運行時刻を事前に定めて運行する「乗合バス」と、利用者との契約により運行内容を都度決定する「貸切バス」の大きく2つに分類される。また、乗合バス事業には、路線バス・高速乗合バス・定期観光バスといった業態が存在しており、それぞれ異なる特徴を持つ。
乗合バスには、地域内の日常的な移動を担う路線バス、地域間を結ぶ高速乗合バス、観光地をめぐる定期観光バスがあり、それぞれ異なる特徴を持つ
乗合バスの中でも、一般道路を走行するバスは「(一般)路線バス」と呼ばれる。路線バスは、観光地周辺の路線を除き、地域内の移動を担う公共交通機関としての性格が強い。また、通勤・通学・買い物など日常の移動に用いられる交通手段であるため、収益は沿線人口に大きく左右される。
主に短距離の移動を担う路線バスに対し、高速道路で長距離を走行して運送をおこなうのが「高速乗合バス」である。高速乗合バスは、路線バスと同様に運行経路・運行時間が決まっており、帰省・出張・観光といった都市間の移動を担っている。利用者が多様であるため路線バスに比べ地域人口に依存しにくいが、景気や観光需要の影響を受けやすい。2013年以前は、長距離バスには、バス事業者が運行する「高速乗合バス」と、旅行業者が貸切バス事業者に委託して運行する「高速ツアーバス」が併存していた。高速ツアーバスでは、旅行業者が貸切バス事業者に対し厳しい運行条件を求めることが多く、運転士の過重労働を招いていることが、2012年の関越自動車道高速バス事故を契機に社会問題となった。これを受け、2013年には「高速ツアーバス」が廃止され、高速バス事業は「新高速乗合バス」として道路運送法の下に一本化され、運転士の勤務管理や車両整備などの安全対策が強化された。
移動手段としての役割が主である路線バス・高速乗合バスに対し、観光をメインとする業態として「定期観光バス」が存在する。定期観光バスは、ターミナル駅・空港・ホテルなどから出発するコースをめぐるバスであり、あらかじめバス事業者が設定したコースに対して利用者が申し込み、参加する。観光施設の見学・体験や食事といった観光商品を組み合わせて販売するため、乗合バスの中では観光業・旅行業としての性格が強い業態である。
貸切バスは、顧客のニーズに合わせて柔軟に運行する。受注獲得のため価格競争が生じやすい
貸切バスは、事業者が自ら運行経路・運行時間を決めるのではなく、旅行会社や企業・学校などから個別に依頼を受け、その計画に合わせて運行するバスである。大きくは、旅行会社などが企画した旅行ツアーの車両運行を受託する場合と、スクールバスや送迎バスのように特定の団体と直接契約し、移動手段を提供する場合に分けられる。
貸切バスは運行経路の自由度が高く、需要に応じて柔軟に運行できる一方、季節変動や景気の影響を受けやすいため、稼働率の平準化を図ることが重要である。また、サービス内容の差別化が難しく、事業者同士の間で受託案件を取り合う価格競争が生じやすいため、運行管理など安全確保の取り組みが重視される。