原料の加工度は高くなく差別化が困難だが、食品加工の必需品であり、安定的な需要が存在する
製糖メーカーで製造する糖類は大きく砂糖とでん粉糖に分類できる。砂糖については、その原料により甘蔗(かんしゃ)糖と甜菜(てんさい)糖に分類される。甘蔗とはさとうきびのことであり、国内では鹿児島及び沖縄を中心に生産され、甜菜(砂糖大根)は北海道を中心に生産されている。原料より成分を抽出した粗糖(原料糖)を消費地で精製し、上白糖やグラニュー糖などの精製糖として商品化される。輸入粗糖の比率は高く、国内生産者保護の為に独立行政法人 農畜産業振興機構による国内外の粗糖価格差の調整がおこなわれている。でん粉糖については、原料をでん粉とし、ぶどう糖、水あめ、異性化糖などを製造する。原料は主にとうもろこしからつくられるコーンスターチが8割以上を占め、製造されたでん粉糖は酒類、菓子、調味料、清涼飲料水、乳飲料など、幅広い領域で使われる。
製粉については、小麦、そば、トウモロコシなどの穀物を挽砕(ばんさい)する事業である。全体の8割が小麦粉であり、残りをそば、とうもろこし、米、大豆など他の穀物が占める。小麦粉について、原料の小麦は輸入品が全体の8割を超えており、輸入小麦は政府が全量買い取り供給量・金額をコントロールしている点に特徴がある。製粉メーカーの販売先は即席めん・製パンメーカーなどの加工食品メーカーが多くを占め、重要顧客でもあることから資本関係を結ぶケースも多い。
製油については、その原料により植物油脂と動物油脂に分類でき、植物油脂が国内生産量の8割を占める。植物油脂の原料は、大豆、なたね、べにばな、ごま、オリーブ、パーム、ココヤシなどであり、原料は直接輸入し搾油するか、搾油された原油を調達したうえで、精油をおこなっている。製油メーカーにとっては、搾油後の搾油かす(ミール)も重要な商品であり、飼料メーカーなどの売り先を確保しているかどうかが利益に大きく影響を与える。
糖、粉、油のいずれの商品も食品加工時の必需品であることから、安定的な需要のある商品群である。一方で商品の差別化は困難で、各社より新商品の投入は一定量あるものの、最終的には品質などの安全性・安定性を保証するブランド力が選択の決め手となることが多い。