使用上のリスクが高く規制の厳しい医家向け医薬品と、比較的リスクが低く制限も少ないOTC医薬品に大別される
医薬品は、特殊な化合物を利用して身体の機能に直接働きかけるものであるため、高い有効性の反面、健康を大きく損なうリスクも存在する。そのため、開発から販売までの各段階で規制が存在する。そして、商品は使用上のリスクの差により、大きく医療用医薬品とOTC(Over The Counter)医薬品の2つに区分される。
医療用医薬品は、購入に医師などの処方が必要なものであり、使用上のリスクが高いことからより厳しい制限がかけられている。一方、OTC医薬品(要指導医薬品を含む)は使用上のリスクが比較的低いことから、消費者がドラッグストアなどにおいて、自らの判断で購入・使用することができるようになっている。
医療用医薬品:特許や再審査期間による保護が高い重要性を持つ
医療用医薬品の中でも、新規に開発された先発医薬品は特にリスクが高い。そのため、先発医薬品には特許による保護に加え、発売から6~10年間の再審査期間が設けられる。再審査期間は、開発時の臨床試験だけでは把握しきれなかった、医薬品の有効性や健康上のリスクなどを検証するための期間であり、期間が終了するまでは開発した製薬会社以外の企業では同等の医薬品を発売することは認められていない。
特許権の存続期間と再審査期間が終了した医薬品については、後発医薬品として他社が同等の効用を持つ製品を発売することができるようになる。後発医薬品は、先発品により開発時の臨床試験と発売後の再審査が実施済みであるため、研究開発・審査が大きく簡便化されている。そのため、先発医薬品と同様の商品を安価で提供できるという点が大きな特徴である。後発医薬品が発売された後の先発医薬品は、長期収載品と呼ばれ、安価な後発医薬品に合わせ、薬価は大きく下がることとなる。
OTC医薬品:薬局、ドラッグストア、通信販売などでの購入が可能
OTC医薬品は、Over The Counterという名の通り、購入・使用に医師による処方などが不要であり、薬局やドラッグストアでの購入が可能な医薬品である。
OTC医薬品はさらに、要指導医薬品と一般用医薬品に分けられる。要指導医薬品は、スイッチOTC医薬品(元は医療用医薬品であったが、十分な安全性が確認できたとして処方なしで購入できるようになったもの)や劇薬などを含み、購入時は薬剤師による対面の指導が必要で通信販売は許可されていない。一方、一般用医薬品は消費者の自己判断による使用が可能と判断されたもので、通信販売もおこなわれている。一般用医薬品は、その効用とリスクの大きさにより、さらに3段階に分けられており、流通時の制約も異なる。