医療用医薬品は使用上のリスクが高く規制が厳しい。OTC医薬品は比較的リスクが低く販売制限も少ない
医薬品は、人体に直接投与される製品であり、高い有効性の反面、副作用や安全性上のリスクも存在する。そのため、開発から販売までの各段階で厳格な規制が存在する。また、使用上のリスクの差により、大きく医療用医薬品とOTC医薬品の2つに区分される。さらに、従来の医薬品は、化学反応により人工的に合成して製造する比較的低分子な化学合成医薬品が主流であったが、近年はより複雑な分子構造を持つバイオ医薬品の市場拡大も進んでいる。バイオ医薬品は、遺伝子組み換え技術や細胞培養技術などを応用し、生物がつくるタンパク質により製造される医薬品で、がんや自己免疫疾患など幅広い領域で活用が進んでいる。また、再生医療や遺伝子治療など新たな治療技術の開発も進展している。
医療用医薬品は、購入に医師の処方箋が必要なものであり、使用上のリスクが高いことから処方量や販売方法など厳しい制限がかけられている。一方、OTC医薬品(要指導医薬品を含む)は使用上のリスクが比較的低いことから、消費者がドラッグストアや薬局で、自らの判断により購入・使用することができる。
医療用医薬品:先発医薬品は特許による権利保護や再審査制度によるリスク管理が重要
医療用医薬品の中でも、先発医薬品(新薬)の開発には膨大な時間と費用がかかるため、開発したメーカーは特許を取得し、一定期間独占的に製造・販売ができる。特許期間は通常出願から20年であるが、新薬については最大で5年間の延長が認められる。
先発医薬品は使用に伴うリスクが高いため、製造販売承認から4~10年間の再審査期間が設けられる。再審査期間中は、製造販売後調査等として使用成績調査、製造販売後データベース調査、製造販売後臨床試験を実施し、副作用・感染症症例報告、研究報告等がおこなわれる。開発時の臨床試験だけでは把握しきれなかった、医薬品の有効性や健康上のリスクなどを検証するための期間であり、期間が終了するまでは開発した製薬会社以外の企業では同等の医薬品を発売することは認められていない。
特許権の存続期間と再審査期間が終了した医薬品については、後発医薬品として他社が同等の効用を持つ製品を発売することができるようになる。後発医薬品は、先発品により開発時の臨床試験と発売後の再審査が実施済みであるため、研究開発・審査が大きく簡便化されている。そのため、先発医薬品と同等の有効成分を持つ医薬品を安価で提供できるという点が大きな特徴である。後発医薬品が発売された後の先発医薬品は長期収載品と呼ばれ、安価な後発医薬品に合わせ、薬価は大きく引き下げられる。
OTC医薬品:薬局、ドラッグストア、通信販売などでの購入が可能
OTC医薬品は、購入・使用に医師による処方箋が不要であり、薬局やドラッグストアでの購入が可能な医薬品である。
OTC医薬品はさらに、要指導医薬品と一般用医薬品に分けられる。要指導医薬品は、スイッチOTC医薬品(元は医療用医薬品であったが、十分な安全性が確認できたとして処方なしで購入できるようになったもの)や劇薬などを含み、購入時は薬剤師による対面の指導が必要でネット販売は許可されていない。一方、一般用医薬品は消費者の自己判断による使用が可能と判断されたもので、通信販売も認められている。一般用医薬品は、その効用とリスクの大きさにより、第1類~第3類の3種類に分けられており、流通時の制約が異なる。