それぞれの設備について、新設の需要に加えて定期的なメンテナンス需要が発生する。その駆動方式や製品の複雑性によりメンテナンス時に必要な技術力は異なる
各設備について主要な商品の解説をしたのち、主な特色を示す。
昇降設備については、大きくは荷物や乗客を乗せたかごを昇降させるエレベーターと、階段式のステップで客を昇降させるエスカレーターに分類ができる。エレベーターについてはさらにその駆動方式により、かごをつりさげたロープを制御することで昇降をおこなうロープ式、油圧ポンプでかごを下から押し上げる油圧式に分けられ、また小荷物専用の昇降機も存在する。いずれも消費立地・大都市型の業種であり、ビルの新設時やリニューアル時の需要に加えて、定期的な部品交換やメンテナンスなどの需要が発生する点が特徴である。また人を昇降させる関係上、安全性が重視される設備である。
駐車場設備については、駐車設備だけでなく管理室、発券機、管制装置などの一連の設備・システムを示す。駐車場設備は駐車方式によりいくつかに分類できるが、車を載せるパレットが垂直に循環する垂直循環方式、水平面方向で循環する水平循環方式、駐車室と自動車用エレベーターを組み合わせたエレベーター方式などがある。マンションなどで簡易に設置できる二段方式・多段方式は、特に土地の効率活用が課題である都市部において普及しており、二段方式・多段方式で全体の設置数の9割以上を占めている。駐車場設備も昇降設備と同様、新設に加えて定期的なメンテナンスが必要となる設備である。
空調設備は、設置する空間の温度や湿度、清浄度などを調整する設備である。労働環境の維持や快適性を保つための対人空調と、物品の品質保持の目的で利用される産業空調に大別される。またオフィスや店舗で利用する空調設備を簡単に業務用エアコンと呼ぶが、こちらもいくつかの種類に分類ができる。特に大規模な施設では建物で空調を一括管理するケースも多く、導入業者は設備の大小に合わせ、もっとも省エネルギー・ローコストになるよう、適切な種類の空調設備を選択する必要がある。また、空調設備は長年環境規制の影響を受けてきた。たとえば代替フロンを2020年までに原則全廃するとする「モントリオール議定書」や、2007年改正の「フロン排出抑制法」などである。ヒートアイランド現象など空調設備の普及にともなって発生した課題もあり、製品の開発時には運用コストだけでなく環境への配慮が求められる製品である。
厨房設備は、調理の各プロセスをサポートする形で多様な種類に進化している。たとえば、熱調理をサポートするレンジ・炊飯器・蒸し器といった熱調理機器類、皮むき器・食品成型機器など下調理をサポートする下調理機、冷蔵庫・冷凍庫に代表される低温機器類などである。他の設備同様、新設と定期的なメンテナンスが必要であるほか、食材を扱う機器である関係上、衛生面・安全面・操作性が重視される製品でもある。