システムインテグレーターは各種ハードウェアやソフトウェアを顧客の業務に合わせて統合し、提供する。仕事はプロジェクト単位でおこなわれ、関係者も多いことから先進的なプロジェクトマネジメントのしくみが整備されている
システムインテグレーターはカスタマイズされた情報システムの完成形を顧客に納品する。ハードウェアやソフトウェアなど様々な他社商品の中から必要な要素を選び出し、顧客の業務実態に応じて統合・カスタマイズし、業務効率化に役立つ情報システムを構築する点に付加価値がある。したがって、構築される情報システムは顧客の業務の状況を把握したうえで設計・構築されていなければならず、また関係者も多くなることから、システムの開発プロセスを標準化しており、プロジェクトマネジメントのしくみも発達している業界である。
システムの開発工程は、大きく6段階に分類できる。顧客の業務実態を整理してシステム化する範囲や対象業務を明確化する「要件定義」、そしてシステムに必要な重要機能を中心に全体設計をおこなう「基本設計」、さらに基本設計を基に技術的要素も加えながら具体的な設計に落としていく「詳細設計」、そしてソフトウェアを実際にプログラミングする「開発」へと続く。開発されたシステムはサブモジュール、あるいはそれを組み合わせたモジュール単位で「テスト」が繰り返し実施され、導入後はシステムインテグレーターが「運用・保守」を手がける。このプロセスを明確に踏むことでシステムの品質や納期の管理を確実なものにしている。また、それぞれの工程によって必要な専門性が異なることから、システム開発には様々な職種が存在する。要件定義から詳細設計をおこなうシステムエンジニア、実際にプログラムを作成するプログラマ、そしてプロジェクトの全体統括をおこなうプロジェクトマネージャーである。運用・保守の段階に入ると障害対応、運用支援をおこなうシステムオペレーターが存在する。このように、業務を切り分けることでプロジェクト運営の効率化を図っている。なお、プロジェクトの規模は、プロジェクトへの投入人数と従事期間を掛けた”人月”で表現することが多いが、プロジェクトアサインされたメンバーの単価×人月に外部から調達したハード、ソフトなどの額を足した総額がプロジェクトの受注金額となる。