タクシーとハイヤーは営業形態が異なり、車両数はタクシーが98%を占める。近年は市場縮小を受けて様々な関連サービスが増加
タクシー業界のサービスの特徴として、まずタクシーとハイヤーの違いを示したい。道路運送法で区分されてはいないが、基本的には営業形態の違いによって呼び方が変わる。タクシーの営業形態としては”流し”、”無線”、”車庫待ち”の3つが挙げられる。”流し”は営業区域内を巡回したり、需要が多い駅前などで待機したりという形態である。”無線”は”流し”中にオペレーターから配車を指示され迎車に向かう形態である。”車庫待ち”は営業所などでドライバーが待機できるためもっとも労働時間が長く認められている形態となっている。一方ハイヤーは”車庫待ち”のみが一般的であり、高級車での高品質な送迎をおこなう業態で、タクシー業界のおよそ2%を占めている。
次に近年の市場縮小を受けてタクシー業界が関連多角化として参入しているサービスについてである。主に福祉タクシー、救援事業、乗合タクシー、運転代行が挙げられる。福祉タクシーは、高齢化によって福祉・介護需要が増加していることを背景に、車いすやベッドなどでの乗車が可能な特殊な車両によって外出を支援するサービスである。次に救援事業としては、タクシーの機動性を利用して、警察や消防、病院などの機関と連携し、独居老人などの緊急通報に対応する支援業務である。また近年マタニティタクシーという業態も登場しており、緊急時の対応ができるよう講習を受けたドライバーによる、妊娠中の外出や通院などをサポートする業務も存在する。次に乗合タクシーは、観光地や過疎地域における小規模なバスのような業態となっており、貸し切りではない点が特徴である。規制緩和によって定額運賃での輸送の範囲が拡大し、それ以降全国的に増加しており、特に公共交通機関の無い地域に近年タクシー業者の参入がみられる。最後に運転代行であるが、飲酒運転が厳罰化して以降需要が拡大している。運転手を派遣し、顧客の代わりに運転をおこなうサービスである。