【リスク保証サービス】売掛債権流動化スキームは売掛債権担保融資、ファクタリング、売掛債権証券化の3つが存在
リスク保証サービスの特徴として、売掛債権流動化のスキームを示す。売掛債権流動化スキームは主に3つ挙げられ、それぞれの特徴を説明する。
一つ目は売掛債権担保融資である。これはもっとも一般的な財務改善手法であり、資金需要がある企業が現金化していない売掛債権の信用力を担保に金融機関やリスク保証サービス企業から借り入れをおこなうものである。この手法は借り入れとなるため返済義務が発生し、債務不履行となった場合は売掛債権の譲渡がおこなわれる。
二つ目はファクタリングと呼ばれる近年主流になってきた手法である。上記の担保融資と異なり債権の譲渡となるため返済は発生せず、ファクタリング企業が売掛先の売掛代金支払いの対象となる。この手法は金融機関だけでなく、ノンバンク企業など様々な企業がおこなっていることから比較的容易に利用することができるが、一方で融資に比べ手数料が大きく発生することが特徴である。
三つ目は売掛債権証券化である。債権を保有している債権者が、それによって将来得られるキャッシュフローを担保として証券化し小口化することで簡単に大量の資金調達おこなうことができる手法である。通常SPVと呼ばれるペーパーカンパニーを設立または信託銀行などに債権を譲渡し証券化、投資による資金調達をおこなう。その際格付け機関や証券会社など様々なプレイヤーが関連することも特徴である。そして、債権者およびサービサーによる返済金の回収によって投資家の元本償還および配当をおこなう。2007年に米国で問題となったサブプライムローン問題は、この証券化手法が発端となっている。低所得者向けの住宅ローンを証券化しバラまいた後に、住宅ローンの債務不履行が大量に発生したために起きたものである。
【サービサー】債権の状況により3つの種類に大別される。多種多様な債権を扱うため専門的なノウハウが必要。法規制は厳しく常にコンプライアンスの遵守が求められる
サービサーは不良債権の取り立てをおこなっているイメージがあるが、正常・不良など債権の状態に応じて3つのサービサーの種類があり、様々な債権の管理業務をおこなっている。マスターサービサーは上記の証券化案件の際に回収が滞りなくおこなわれるよう他の各サービサーのモニタリング、コントロールをして、債権者や投資家へのレポーティングや送金業務をおこなう。プライマリーサービサーは正常債権を扱い、債務者の履行状況を監視し回収業務をおこない債権の不良化を防ぐ役割がある。そしてスペシャルサービサーは不良債権を扱い、ローンのリストラや売却、追加担保、代理弁済、担保の売却や競売など債務者の事業再生に向けたサポート業務などを専門とし、正常債権化を目指す。またサービサーの取り扱う債権は商業用不動産ローンや無担保商業用ローン、住宅ローン、個人向けローンなど多種多様であり、それぞれ専門的なノウハウを保有している必要がある。
サービサー業界の特徴として、厳しい法規制が存在する点が挙げられる。参入には法務大臣による債権管理回収業の許可が必要となっており、要件としては資本金5億円以上など障壁が高くなっている。また常に法務省、警察庁による立ち入り検査など監視がおこなわれており、コンプライアンス違反は重い罰則が科されるためコンプライアンス遵守が求められている。