調査・コンサルティング業界のサービスは顧客ニーズに基づき提供される。いずれも、単発案件の場合はオーダーメイドでサービス提供されるため業績の変動が激しい
コンサルティング業界のサービスは大きく、ビジョン策定や中期経営計画の策定に代表される経営戦略の策定、業務フローやビジネスシステムの効率化に代表される業務改革支援、IT改革支援、人事制度を中心にテコ入れをおこなう人事改革支援などに分けられる。各コンサルティング会社は独自の得意領域に特化した事業展開をしており、サービスの種類に対応して戦略コンサルティング、業務コンサルティング、ITコンサルティング、人事コンサルティングと幅広い領域で支援をおこなう総合コンサルティングや、より専門的な領域で支援をおこなうM&Aや会計などの専門コンサルティングがある。また中小企業に向けては、多くの専門家に依頼する資金的余裕がない場合が多いため、経営課題全般にアドバイスをおこなう中小企業向けのコンサルティングが発達している。また、コンサルティングサービスは景気変動に強いという特性がある。顧客企業の自社だけでは解決が難しい課題の解決の支援をするという業務特性上の意味もあるが、好景気時には新規事業や買収などの攻めのプロジェクト、不況時にはリストラや売却などの守りのプロジェクトが発生するなど、プロジェクト受注の幅を広くもつことで業績変動リスクを低減するポートフォリオ効果をもつ。なお、コンサルティングの案件単価はコンサルタントの稼働時間で料金が決まることが一般的であり、プロジェクトに参加するコンサルタントの単価が合算されて計算される。M&Aなどの案件を中心に成功報酬型の案件も増えつつある。
調査業界のサービスは、情報収集のやり方によりいくつかの分類ができる。もっともオーソドックスな分類はパネル調査とアドホック調査に分ける方法である。パネル調査は調査対象者を固定して継続的に調査をおこなうもので、アドホック調査は単発で都度オーダーメイドで調査企画から実査をおこなう調査である。いずれにおいてもインターネットを活用した調査が普及しており、広範囲の調査対象者に対して低コストで実査がかけられること、調査設計や実査・回収の利便性が高いこと、短期間で調査が可能な点を背景に、いまや調査手法のなかでも主流となっている。また、調査会社が提供する調査手法は大学等の研究機関の調査手法の一般化により生まれる場合も多く、スマホ普及に伴うモバイルサーベイや活動中の視線の動きを記録するアイトラッキング、センサーを用いた調査などが実用化されている。情報収集をおこなう手法を多くの選択肢から選べるようになってきた反面、調査会社側での提供サービスの標準化も難しくなってきている。