レジャー施設運営業界の取扱いサービスは多様で、事業内容もサービスにより異なる
【映画館】 商品の差別化要素が少なく、他のレジャーとの相乗的な集客が特徴
映画館で上映される作品の多くは複数の映画館で上映され、上映作品のラインナップによる差別化は難しい。映画館の差別化要素は少なく、音響システムや座席などの設備、飲食サービス、上映時間などに限られる。インターネット配信により自宅で映画を気軽に楽しめるようになり、映画館は高付加価値化に舵を切っている。3D映像に様々な特殊効果を組み合わせる体験型劇場システムの導入や、映画の場面に合わせて座席が動くほか、劇場内に風や香り、煙などで、臨場感を演出する映画館もある。施設の特徴として、ショッピングセンターや駅前の商業集積地との集客面の相乗効果が期待でき、ショッピングの合間や他のレジャー施設との併用利用が多くみられる。収入構造としては、映画のチケット代金の他に、飲食や物販による割合も大きい。
【フィットネスクラブ】 スタジオプログラム型、筋力トレーニング型、スイミング型の3タイプに大別され、全てをカバーする施設と特化型の施設がある。いずれも会員制で収入を得る構造
フィットネスクラブは大別すると、ヨガやエアロビクスなどのスタジオプログラム型、マシン器具等を使った筋力トレーニング型、プールを利用したスイミング型の3つに分けられる。大手のコナミスポーツやセントラルスポーツは基本的に全てのサービスを提供しているが、近年はひとつのサービスに特化し差別化を図る施設が増えている。RIZAPは、筋力トレーニングと食事のアドバイスなどを組み合わせた成果重視のコースから気軽に短時間で筋トレができるコースまで、従来と違ったメニューで差別化を図っている。マンツーマンで個人の状態に合わせたトレーニングをサポートするパーソナルジムも増えている。収入構造は一般的に月額会員制のストック型ビジネスで、いかに会員数を増やし、継続的に利用してもらえるかがカギになる。そのため、適切な立地への出店と、商圏に合った設備、プログラム、料金設定が求められる。
【ゴルフ場】 ゴルフ場は、競技人口の減少と共に大衆向けにシフトしており、新しいターゲットを狙った取り組みが多い
ゴルフ場の利用は、会員制のプライベートな利用と非会員のパブリック利用の2つに分類される。1990年代初頭のバブル崩壊以前はゴルフ人気が隆盛を極めていたが、現在は競技人口が減少している。かつてはゴルフ場の資金源として株式方式の会員権が発行され投資、投機対象になっていたが、現在は高額な会員権の代わりに資産価値を持たないプレーのみの会員権も増えている。ゴルフ場の収入構造としては、利用料金の他に、「キャディ」と呼ばれるラウンド支援サービスに対する料金収入や、クラブハウスでの食事、売店の売上などの収入がある。近年はプレー料金も手頃になっており、「キャディ」を付けないセルフプレーでの利用が多くなっている。ゴルフ人口は減少傾向が続いており、新規顧客をどのように獲得していくかがカギとなる。顧客層の拡大に向け、ファミリー利用を狙った子供向けのコースやスクール、バーベキューやサイクリング施設などを充実させる動きもある。また女性向けに食事やエステなどを充実させリゾート地としてのサービスを提供する例もある。
【遊園地・テーマパーク】 遊園地・テーマパークは装置型の産業であり、顧客の滞留時間を伸ばすことが重要
遊園地・テーマパークは、郊外の大規模な土地を開発するものと、都心のビルなどのテナントでの屋内型のテーマパークが存在する。サービスの特徴として、非日常体験というテーマを軸に、様々なアトラクションやイベントを企画し、施設全体を演出している。ゴルフ場と同様に土地開発から行うことが多く、設備投資に多額の費用がかかる。収入構造は、入場料に飲食店やグッズ店舗等での販売が加わり、客単価は顧客の滞在時間に比例する。そのため、ディズニーランドではホテルを併設し、日を跨いで楽しめるサービスを充実させている。季節変動も大きく、行楽シーズンやクリスマス、修学旅行シーズンなど、季節によって客層が変化する。
【遊技場・カラオケボックス(パチンコホール)】 パチンコホールは射幸心を刺激するゲームを提供し、特殊な収入構造である
遊技場・カラオケボックスは、店舗型のサービス業である。パチンコホールは遊技の際に利用する玉やメダルを貸し出すことで収入を得る。プレイヤーは貸し出された玉やメダルを遊戯によって増やすことも可能で、増えた玉やメダルは景品と交換することができる。その場合に多くのプレイヤーは「特殊景品」とよばれる景品と交換し、「特殊景品」をホールとは無関係の買い取り業者に買い取ってもらうことで、現金化することもできる。
パチンコホールの収入の構造としては、玉、メダルの貸出による収入から、景品として顧客へ還元した分を差し引いたものが粗利率となる。顧客への還元率はパチンコであれば台ごとの出玉調整、パチスロであれば6段階の機械設定によってホール側が日々調整している。また近年ではシニア層やライトユーザーに合わせて貸玉料を低く設定するホールもある。例えば通常の1/4のレートの「いちぱち(わんぱち)」と呼ばれる1玉/1円ものが代表的である。
【遊技場・カラオケボックス(ゲームセンター)】 ゲームセンターは顧客の利用目的に合わせた多様な機器のラインナップが存在
ゲームセンターの特徴としては、個人利用とグループ利用の2つのニーズに合わせた機器の存在が挙げられる。一人用のゲーム機器では、近年ネットワークを利用してオンライン対戦などのサービスが提供されている。またグループ利用では、プリントシール機やUFOキャッチャー、スポーツ系のゲームなどがある。ゲームセンターはレジャー施設としてはパチンコホールのような個人利用と、カラオケやボウリングのような団体での利用の中間的な位置づけといえる。テナント、駅前、ロードサイドなどの立地条件や周辺競合を鑑み、利用シーンを考慮した機器のラインナップが求められる。
【遊技場・カラオケボックス(カラオケボックス)】 カラオケボックスは、室料以外にも飲食サービスによる収入が重要。カラオケ機器の供給は寡占状態
カラオケボックスは、元々はバーやスナックなどに置かれていたカラオケ機器を貨物コンテナなどに設置したものから始まっている。低料金でプライベートなカラオケの空間を貸し出すという点が若者やサラリーマン・OLからの人気を獲得し成長した。現在では、カラオケの室料以外に飲食サービスが収益源として大きい。室料を安く設定し、1ドリンク制などで収入を確保している場合や、「カラオケダイニング」といった、居酒屋のような飲食メニューを取り揃える業態が増えている。また特徴として、客入りの変動に合わせて料金が変動するシステムを採用するチェーンが多く、空室率を減らすための工夫がなされている。カラオケシステムはカラオケ機器メーカーから調達されており、ブラザー工業グループの「JOY SOUND」と第一興商の「DAM」の寡占状態である。