医療機器の販売にはリスクに応じて許可が必要
医療機器商社業界の特徴として、医療産業に関わるため公共性が求められ、取り扱う商品によって許認可が必要であるという点が挙げられる。医療機器は、国際基準であるGlobal Harmonization Task Force (GHTF)によって人体へのリスクの大小で四分類に分けられており、日本においては薬機法(旧薬事法)において、GHTFの”クラスⅢ”、”クラスⅣ”を一分類にまとめる形で3つの分類が適用される。リスクの少ない順に「一般医療機器」、「管理医療機器」、「高度管理医療機器」と規定され、管理と名が付く医療機器には基準が定められており、「管理医療機器」は所轄の保健所への届出、「高度管理医療機器」は審査を受け、都道府県知事の販売業の許可を取得する必要がある。またこの分類とは別に「特定保守管理医療機器」という分類も存在する。画像診断装置など保守点検に専門的な管理を必要とする品目が定められており、同様に都道府県知事の販売許可が必要となる。
医療機器商社は安定供給と安全性を担保するため適正使用支援という特殊業務をおこなう
医療機器商社業界の業務の特徴としては、安定供給と高い安全性が求められることから、適正使用支援と呼ばれる他の卸業者にはあまり見られない特殊な業務がある。適正使用支援の中には「預託管理業務」、「短期貸出し・持ち込み業務」、「立ち合い業務」、「保守・メンテナンス業務」、「緊急対応」がある。「預託管理業務」と「短期貸出し・持ち込み業務」は安定供給に関する業務となっており、病院に機器の在庫を置き使用に応じて料金が発生する預託在庫の管理と、不規則なニーズに対するレンタルによる合理的な供給業務である。「立ち合い業務」と「保守・メンテナンス業務」は安全性を担保する役割である。立ち合い業務は手術などに立ち会い操作や使用方法の安全性をサポートする業務で、保守・メンテナンス業務は、上記の「特定保守管理医療機器」などの保守業務を担う。またその他に、コンサルティング業務を行う企業も増えており、例えばシップヘルスケアホールディングスは、病院に対して在庫の管理や委託業務の管理など病院経営に関わる様々な支援をトータルソリューションとして提供している。