介護サービスは大きく「在宅型介護」と「施設入居型介護」に分類できる。介護サービスの収入源は介護保険制度にともなう介護給付金(公費)が主であり、政府や自治体の動向に依存
介護サービス業者が提供するサービスは大別すると「在宅型介護」と「施設入居型介護」に分類できる。在宅型介護はさらにいくつかの分類が可能であり、介護職員が利用者を訪問して介護・看護・入浴・リハビリなどをおこなう「訪問系」、利用者側が施設に通所し介護サービスを受けるいわゆるデイサービスやデイケアと呼ばれる「通所系」、また通所ではなく短期に入所するショートステイと言われる「短期入所系」、地域密着で見守りサービスなどをおこなう「地域密着型」サービスに分類ができる。在宅型介護サービスは基本的に利用者が自宅に居ながらサービスを受けられることに特徴がある。一方で、居住場所としての機能も持ち合わせているのが「施設入居型介護」である。大きくは「有料老人ホーム」とその他の「介護老人福祉施設」「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」に分類ができる。施設入居型の極端な例が医療施設への入院だとすると、大まかに位置づけて有料老人ホームがもっとも医療から遠く、介護療養型医療施設がもっとも医療に近い施設ということになる。具体的には、介護療養型医療施設は慢性疾患を有し長期療養が必要な介護者に対して医療的な観点も含めた介護サービスを提供し、介護老人保健施設は在宅への復帰を目的としたリハビリなどをおこなう施設であり、介護老人福祉施設はその他介護保険が適用されるような日常生活の支援をおこなう施設である。以上の三施設については都道府県・市町村や非営利団体が運営をおこなう必要がある。有料老人ホームは民間が運営する介護老人福祉施設の位置づけに近いものであり、料金が高い分、公的機関が提供できない良質なサービスを提供している。
なお、介護業界は介護保険制度の影響を大きく受けている。介護サービス利用者はそのサービスを受ける際に公費による補助を受けることができる。具体的には介護保険対象サービスの対価を介護報酬というが、公費9割と利用者分1割で構成される。保険対象者は「要支援者」「要介護者」と呼ばれるが、そのためには市町村の認定が必要であり、具体的には65歳以上で日常生活に一部でも支障がある高齢者が主になる。その支障の度合いにより「要支援1」~「要介護5」まで分類され、介護保険の支給限度額が決まっている。介護保険の対象は介護サービスだけでなく、高齢者に合わせて住宅改修をおこなった際の費用、専用ベッドや車いすなどの福祉用具購入費用も適用の対象となる(施設内での食事代などは対象外)。このように公費によるサポートが多くを占める介護保険制度であるが、事業者側から見れば収入のほとんどが公費で賄われているといえる。したがって、厚生労働省を中心とした政府や自治体の動向に深く依存した業界である。